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酒と音楽が好きなゲイのブログ

世界が終わる夜に

元彼がまだ無職だったことに驚いた。
2月中にはさすがに何かしらの仕事には就いているだろうと思っていたが、予想以上にダメな人だった。
どこから金が出ているのかは不明であるが、SNSを見る限り遊んでばかりいるようなので、彼の将来が単純に心配です。

会社では清純派を装いながらも”オネエ”や”大久保佳代子”というあだ名をつけられ、ビシバシ怒られながら机に座ってる。
時折、同期とウォーターサーバーの前でおしゃべりをするのが唯一の救い。
タバコは吸わないキャラで通しているので、昼休みにわざわざ外に出ては誰もこないキツエンジョでひっそり煙をしばいた。
毎日同じ場所に通い、好きなところへ行けなくても、三連休はやってきた。
普通のリーマンでよかったと思える数少ないメリット。
金曜の夜にスパークリングワインを飲みながら、ラタトゥイユを食べた。
土曜の夜はハイボールを飲みながら肉を焼いた。
日曜の夜に話題のララランドを見たあと、喫茶店で洋食プレートを食った。メンチカツは油を吸いすぎていて、食うのがキツかった。
月曜は会社の同期が来たので、腕をふるって唐揚げとポテトサラダを作った。美味しいね、楽しいねと言いながらご飯を食べ、ワインを啜った。酔っ払いながら、おれの家の小さなベランダで男2人が肩を並べてタバコを吸った。
春の日差しに包まれながら、会社の愚痴を言いながらだべった。この時の感覚は高校生の時の昼休みの過ごし方にちょっとだけ似ていた。おれたちは23歳になっていた。
1人でワインを開けたあと、一緒にギターを弾いたりした。共通の趣味がないから、お互いの好きなことをして過ごした。
夜になって、2人で小さいベッドに横になった。合宿みたいで楽しくね?って笑いあった。一緒にいて、心から笑える人が本当の友達だと思った。

火曜日は雨が降っていた。一日中二日酔いで、仕事という仕事ができなかった。人事課長から電話がかかって来て、なんかよくわからないことをたくさん言われた。200km以上離れた遠い東の国から声が届くというのは不思議なことだと感じた。
三連休でお金を使いすぎたため、夜はおとなしく家に帰って、鮭を焼いて食べた。風呂に浸かったあと、ベランダでタバコを吸っていたら、星がとても綺麗だった。昼間降った雨で、汚いものが全部流れてしまったんだと思った。

翌日、マンションの住人同士が騒音で揉めたらしく、”生活音に注意”、”他人を泊めることは原則禁止”などが書かれた張り紙が、マンションに何枚か貼られていた。体育学部の寮かよ。
玄関を開けると、扉の間に注意喚起の手紙が挟まれていた。
おれが寝ている間に誰かがここまできて、手紙を挟んだのだと思うと急に怖くなった。どちらにせよ、しばらくは誰も家に泊められそうもなかった。

気がつかない間に恋が終わりそうな気がした。『うまくはいかないと思うけど、応援してる』って言われた言葉をずっと考えている。そうやって、他人がみんな受け流すべき言葉をいつまでも大事にして考えるから、めんどくさい奴だと揶揄される。おれがモテないのは、ブスだからでも服装がダサいからでもなく、めんどくさいから。それに尽きる。
何も始まっていないまま終わらせるのは腹が立つけど、なんかもう疲れた。おれには好きなものが多すぎる。好きなものだけで周りを埋めて、お腹いっぱいにしたい。そんなところに好きな人なんかが入ってきたら、何かのバランスが崩れて壊れると思う。好きだけならいいけど、好きだけでは絶対に続かないのを知っているし、好きでい続けるには努力が必要なのも知っている。一緒にいる時間が長ければ長いほど、情が湧く。情が湧いたら、一緒にいるのが当たり前になるかもしれないけど、情が湧くのと好きなのは別だ。長く付き合った末に別れられないカップルは情にしがみついているだけだと思う。お互いがちゃんとわかり合うことをしないと、心に触れる努力をしないと。サボったらダメだと思う。

悲しみから解放されたとばかり思っていたけど、どうやらそんなことはなかった。1人で過ごす夜はいつまで経っても慣れることなんてなかった。

髪をうんと伸ばしたい。
目の前が見えなくなるくらいに。
そうしたら、悲しいものを見なくて済むから。春が来ても、心には冷たい風が吹いていた。

 

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