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酒と音楽が好きなゲイのブログ

黒歴史は偉大だ

黒歴史の存在は偉大だ。少女は容姿のコンプレックスを捨て、ありとあらゆる方法で女性になる。アクセサリーや化粧品や洋服といったものは生活に彩を与え続け、恋に恋して寝具で遊戯するときだけ本当の意味で裸になる。一方、少年は永遠に少年のままで毎週発行されるジャンプの青春漫画に思いを馳せている。スーツを着て満員電車に乗りながら、その通勤途中で青春時代にタイムスリップ、フラッシュバックしようとしている。かつての自分がそこにいたかのような錯覚。自身の思い出の引き出しを一つ、二つとこじ開けては記憶の湯船にどっぷり使ってセンチメンタルになっている。今、別れのとき、飛び立とう、未来信じて、という卒業式の歌が心臓をえぐるようだ。体育館の独特の匂いやシューズが床を蹴る時に鳴るキュッという音。グラウンドを走る運動部の掛け声に重なるようにして1人1人が各教室で秩序のない練習音を鳴らし続けているのは吹奏楽部だ。夕方の学校で何よりも自由で美しい時間がそこにあって、みんながみんな記憶の中の自分を美化している。当時はとてつもなく辛かったり、悩んだりしたはずなのに年をとってから思い出す、事象の全てはオレンジ色で宝物のようにして抱きかかえ、ストレス社会の糧にしている。忘れられないのか忘れたくないのかわからない。だけど、現在進行形で青春を描く俗物は売れている。青春の1ページ、なんて言葉は加齢臭が出始めるおっさんたちには刺激が強すぎる気がする。黒歴史は絶望する時だけに使うものだと思っていたけれどそうでもないらしい。